カメロード

息子と父親の日常

伝統と革新の味、ミンチカレー

ミンチカレー

ミンチカレーwithおかず

僕の母から、4人の子供達に唯一受け継がれ、伝統の味として守り継がれている料理が、一つだけある、それがミンチカレー。

40年ほど前、まだ昭和だった頃から、うちのカレーといえば、ミンチカレーだった。それを世界的には、キーマカレーと呼ぶというのを僕が知ったのは、30歳をすぎていたし西暦は2000年を超えていたし元号も平成になっていた。

40年ほど前、母がどこでこのカレーを知ったのかは知らない。東京にはあったかもしれないが、僕の住んでいるような田舎ではこんな斬新なカレーはなかった。たっぷりの玉ねぎのみじん切りとミンチ肉だけのカレー。カレーのスパイシーさと玉ねぎの甘さ、たっぷり入ったミンチ肉の肉肉しさ。僕の母が作る料理で、一番人気だった。

それから、40年がたち、僕の兄も作るし、妹も作る、僕も作る、僕の妻も作る、噂では海を渡ったという音信のない弟もおそらく作っているであろう、ミンチカレー、そして、伝統となった。

そして今、受け継がれた各家庭により、伝統は、微妙に変革されつつある。伝統は革新することにより受け継がれるのだ。

兄は、母親が鍋を放置し適当に作っていただけのミンチカレーを、適当には作らず、試行錯誤、緻密に研究し、より美味しくなるよう極めようとしている。

妹が作ったミンチカレーは食べたことがないが、まあ性格から考えて、母親が適当に作っていたミンチカレーを、よりもっと、テキトーに作っていることだろう。

僕の妻は、牛や豚を食べないので、鶏肉のミンチで作る。

僕は、ミンチカレーをそのまま食べず、何かトッピングして食べる。定番は、目玉焼き、とろけるチーズなど。さらに贅沢に、シイタケやナスビを焼いて和風に醤油味や甘辛に味付けしたものや、鶏肉の照り焼き、ほうれん草のおひたし、豚の角煮と煮卵など、和風のお惣菜をトッッピングするのが好きだ。この前テレビで、潰れそうなおばんざい居酒屋が、おばんざいカレーの店として再起を図る企画をやっていたが、カレーに和風のお惣菜が合うことを知ったのは僕の方が先だし、これで店をやれば、はやるのではと考えたのは僕が先だと、密かに勝手に自負している。今日は、ナスビを焼いて生姜醤油で味付けしたものと、塩麹に漬け込んだ鶏肉を焼いたもの、目玉焼き、チーズをトッピングした。

伝統のミンチカレーはこのように革新を受け入れながら、今もそして、これからも受け継がれていく。